5strings-izm

5弦主義〜だって5弦でいいじゃない

Cool-Z ZS-1R HSH FM(VB)

私が主に弾く楽器はベースですが、趣味として初めて手にしたのはギター。

今も、気分が乗れば弾きます。

ベースほどではありませんが、これまで何本か手にして来ました。

もっとも、ベースが一番好きですし、何より保管スペースがないので、数本を残し整理しました。

では、今回は、いつもと趣向を変えて、ギターをご紹介します。

その名は

Cool-Z ZS-1R

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 メーカー(ブランド)

「Cool-Z」とは、大手楽器チェーン店が販売している、島村楽器のプライベートブランドです。製造は、そのクオリティの高さとコストパフォーマンスで、かっては海外ブランドのOEM生産を手掛け、現在は、自前ブランドも展開するフジゲンが行っています。

島村楽器は、他の楽器店チェーンとは若干異なる独特の「雰囲気」を持つところで、ギターやベースプレイヤーの間では様々な評価がありますが、このモデル自体は、なかなかのものを持っています。

なお、本機はオークションにより前所有者様から譲り受けた、いわば複数のオーナーを経たものであることをお断りしておきます。

スペック

島村楽器の商品カタログ及びスペックシートで公開されている、本モデルのスペックは次のとおりです。

 ■Body : フレイムメイプルをラミネートしたメイプルトップとマホガニーバックボディ

■Neck :  メイプル

■指板 : ローズウッド 

■フレット : 22フレット サークルフレッティングシステム搭載 

■フロントピックアップ:FH3D/n ハムバッカー

■センターピックアップ:SS-1 シングルコイル

■リアピックアップ:FH3D/b ハムバッカー

■ペグ:GOTOHロックペグ

■ブリッジ:ウィルキンソン製2点支持タイプ

■コントロール部: ボリューム1、トーン1、5way switch、Rear Pickup Direct switch

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外観

ボディは、トップにフレームメイプルを貼り付けたメイプル、バックはマホガニーを使用しています。

写真では茶色が強く感じられますが、実際はもう少し黄色がかった感じです。 
木目も綺麗で、仕上げも丁寧なので、高級感があります。

持ってみた感じ(第一印象)

真っ先に感じるのは、仕上げの良さ。

ボディシェイプは、伝統的なストラトタイプを元に、現代的なスタイルにまとめられています。

見た目に反して、気持ち丸く感じられ、ストラップなしで弾く際に、ツルツル滑る感があります。エレキギターはストラップ付けて立って弾くのが、基本的なスタイルなので、特に問題点とはならないでしょう。

普段がベース持ちなので、軽くてコンパクトに感じられます(笑)。 

 

 

音(トーン)

目立った特徴はなく、クセのない音です。

各ポジションでは、当然ですが、ハムバッカーの音、シングルコイルの音をきちんと出せます。

HSHのピックアップ配置なので、音色バリエーションも豊富です。

フロントピックアップがハムバッカーという点は、私的には好印象。シングルコイルの煌めくサウンドも好きですが、ハムバッカーの持つ、甘く厚みのあるサウンドは、リードプレイに向いていると思います。

フロント+センター及びセンター+リアのポジションでは、フロント及びリアがコイルタップされ、綺麗なハーフトーンも良い感じです。

ノイズは少なめ。パワーは不足を感じたことはないですね。歪ませれば、ヘビィなリフも十分気持ちよく刻めます。

まあ、このルックスでは、ポップスなど軽快なサウンドが似合いますけど。

 

特徴は、ハイポジションでの音程の安定感。

フジゲン製ギター、ベースに標準で装備されている「サークルフレッティングシステム」(CFS)の能力を感じます。

これは、フレットをやや弧を描いて装着することで、全ての弦のあらゆるポジションで直交するようにする仕組みです。

リペアショップによっては、通常のフレットと違う打ち込み方となるため、フレット摩耗による交換依頼が断られてしまう事もあります。プロのリペアショップなら、リペアで失敗は許されませんので、むしろ安請け合いするところの方がオソロシイですね。

まあ、フジゲンや島村楽器に持ち込みとなるのが、難点ともいえます。

私的には、その難点を補ってあまりあると感じていますので、ここは自分の価値観で見て決めれば良い点でしょう。

 サークルフレッティングシステム及び22フレット仕様で、ネックエンドとブリッジまでの距離があり、ピックアップ同士の間隔もバランス良く、それぞれの持ち味を出してくれます。

 

弾き心地

丸みを帯びた、厚めのオーソドックスなネックシェイプであり、握りやすいです。

それまで、比較的薄めの「速弾き志向」ネックのギターを多く使用してきたので、むしろ新鮮な感じです。ストラト使いの方なら、違和感はないでしょう。

ヒールカットが施されているので、ハイポジションでのフィンガリングにストレスは感ありません。

サークルフレッティングシステムのギターは初めてでしたが、他のギターと大きく異なることはないです。

フレットサイズはジャンボとまでは大きくない、やや太めのもので押弦しやすい。

通常のプレイであれば、さほど減りを気にすることは少ないと思いますが、サークルフレッティングシステムは、その仕組み上、一般的なフレットよりも若干柔らかい素材で作られているため、ハードなプレイをされる方では、摩耗は早いです。

 

昔は24フレット仕様が好きでしたが、どうしても出音が甘く感じるのと、ハイポジションでの音程ピッチが、オクターブ合わせしても、なんとなくズレを感じていましたが、本機で22フレット仕様を味わうと、ピッチがしっかり合って、CD等と合わせて弾いたときにズレがなくコピーやとても楽です。

 

GOTOHのロックペグと、ウィルキンソンの2点支えタイプのブリッジで、ノンロクトレモロですが、チューニングの狂いは少ないです。軽いダウンアームはもちろん、クリケットやビブラート程度なら、しっかりとチューニングをキープしてくれます。

さらに、ノンロックタイプなので、弦交換が楽なのも高評価です。

コントロールパネルは、 オーソドックスな配置です。

 

リアピックアップ・ダイレクトスイッチが装備されているのが、面白いところ。

これは、文字通り、ピックアップセレクターの位置を問わず、オンにするとリアピックアップ出力となります。

リアでのバッキングから、フロントでのソロ等への切替えには楽ですね。

あと、配線交換が必要とはなりますが、春畑道哉氏のサウンドで有名な「フロント+リア」の音を出したい場合の、リアミックススイッチに割り当てることができます。

 

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手に入れやすさ

本モデルは、現在は廃盤となっていますので、新品を購入することは難しいと思われます。新品価格では販売時では税抜115,000円でした。

中古であれば、未だ入手することは十分可能ですし、価格も税込で4万円程度で、求めやすくなっています。

 

総合評価

以上の点を踏まえて、個人的な評価を5段階で判定します。数字が高い方が良いです。

・メーカー(ブランド)=所有欲を満たすかな:

・スペック=メーカーの公式仕様:

・外観=やっぱり見た目は大事です:

・持ってみた感じ(第一印象)=重さやバランスはプレイに直結:

・音(トーン)=楽器ですから:

・弾き心地=音が良くても弾きにくいのはねえ:

・手に入れやすさ=良いものでも買えないのはいかがなもんか:

 

以上から、総合評価は、3.85となりました。

 

講評

本モデルは、島村楽器のプライベートブランドであり、製造元のフジゲン製と競合する位置にあるので、積極的に選択するかは、正直評価は分かれると思います。

しかし、楽器の完成度という点からは、十分なものを持ちます。

探せば、状態の良い個体が手頃で入手できますので、総合的にみても、メインで使える良いギターです。